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のびやかで情熱的な愛をうたいあげた 農村の女流歌人、恩納ナビ

十八世紀 恩納岳の麓に 天才的な歌詠みの娘がいたという。
マッコーという庭木がある家の娘だから マッコー屋ぬナビー と呼ばれていた。
当時の農民は封建的な様々の制約の中で 生きていたが ナビは歌のなかでそれらの 束縛を軽妙に皮肉ったり 恋人への思いを 情熱的にうたったりと 自由闊達に優れた 琉歌を作り 広くその名を知られていた。
ナビ は貧しくとも 精神は純朴で自由であった ひとりの沖縄女性として 現代に語り継がれている。



「波の声もとまれ 風の声もとまれ 首里天がなし 美御機拝ま」ナビ

…波の音も止まれ 風の音も止まれ 恭しくも国王様の お顔を皆で拝みましょう
この琉歌は尚敬王が北部を巡幸した際に立ち寄った万座毛の岬で 人々の中から進み出たナビが 即興で王に献じたものだと言われている。
絶対的な国王に対して沸き上る敬意を 雄大にうたい上げた名歌。


「恩納岳あがた 里が生まれ島 もりもおしのけて こがたなさな」ナビ

…恩納岳の向こうに 愛しい人の村がある この邪魔な森を押しのけて こちらに引き寄せたいものだ
森を押しのけるという大胆な発想と情熱に驚かされる ナビの代表歌。

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