19世紀末、琉球は19代国王尚泰の時代に大きな転機を迎えました。
日本の開国・明治維新という世の中の大きな流れの中で、古い体制を貫く琉球の存続は次第に危うくなり、遂に1879年、琉球王国は沖縄県として近代日本国家に組み込まれて消滅しました(琉球処分)。
最後の国王となった尚泰は、首里城を出て東京に定住することを命じられ、華族に列せられて東京で生涯を終えました。
この絵では、尚巴志の琉球統一から、450年もの間繁栄した琉球王国の黄昏を描きました。
貿易で賑わった那覇の港から、琉球の繁栄を支えた進貢船(中国のジャンク船)が役目を終えて帰っていきます。
見送る尚泰王と王族・重臣たちが立っているのは、『迎恩亭』と呼ばれる建物で、外国の要人を迎える為の施設でした。
実際に国王がここで船を見送ったのかは分かりませんが、当時の地形・建造物・人物は極力資料に基づいて描いてあります。
海に浮かぶ那覇港の美しい夕暮れに、王国の黄昏の香りを重ねて思い描くと、この様な光景があったのではないかと思えてなりません。